平成31年度予算への意見表明

せたがや希望の会は、平成31年度一般会計外各予算に賛成するに当たり、意見を申し上げます。

私たちの会派が賛成するのは、31年度予算そのものであって、その執行体制については多くの問題があります。さまざまな課題への総合的な取り組みの姿が全く感じられません。

区長は、世田谷区の人口がふえていると区の政策の成果のように言われますが、実態は転入者の数が多く、今後の予測も分析もできない、まさにこれはリスクであるとも考えます。転入増による財政への影響は、税収の増を見込むだけでよいのか、幼児教育・保育無償化、保育園政策、医療費、給食費補助を初め、転入増によるマイナス要因をきちんと分析することこそが必要なはずです。

さらには、転入時の窓口において、転入者の妊娠期の面接を御案内すべき対象であるにもかかわらず、把握する手だてがない。そんなことは転入処理の忙しいときにできるはずもないという職員の声にきちんと耳を傾け、抜本的な対策をとらないと、幾ら区が妊娠期からの切れ目のない支援と打ち出していても、漏ればかりが発生することとなるのです。全体を見通した取り組みが必要なのです。

今の区は、手段と目的を混同しています。幼児虐待相談の充実ということは手段です。目的ではありません。目的は、虐待がないこと、虐待がない町を区民とともにつくり出していくことです。

区の組み立てでは、「見張りあうまち」となるのです。この「見張りあうまち」ということと「見守りあうまち」ということは、言葉が似ているようですが、内容は全く異なります。

今の区が取り組もうとしているのは、その多くが対症療法です。次から次へと対症療法の政策が出てくる。職員も大変でしょう。際限がありません。疲弊するばかりです。

この一つの原因が、今の区は弱者対策を施策の中心に据えていることです。確かに弱者対策、地域社会としてセーフティーネットは必要です。このセーフティーネットを張ることは自治体の責務です。しかし、では、このセーフティーネットを張りめぐらすことで世の中がよくなっていくか、これは疑問です。弱者対策が政策の基本にあるのでは、地域社会の健全な発展はとても見込めないはずです。

地域社会の至るところで区民の創意工夫、自助努力があり、それが地域をよりよい方向へ動かしていく、これが望むべき地域の姿のはずです。世田谷は、政策、施策の取り組みに当たっては、区民の力を信じ、まず、自立に向けたさまざまな一人一人の毎日の努力を評価し、支援していく、このことを基本に据えるべきと考えます。

さらに、区と議会との関係について大きな疑問があります。地域行政の基本条例について、ある会派からその取り扱いについて疑義が出されました。自由な討論はもちろん議会活動として保障されていますから、問題はありません。問題は、その際、理事者側の答弁が議会での議論が先行してしまったとされたことです。区も言われるように、区と議会は車の両輪であり、その接するところが議会であるはずです。ところが、ある課題については、議会での議論が先行してしまったという見解は全く不可解です。議会での論議以外に区は何を想定されているのか。議会軽視と言わざるを得ません。

さらに、区は、答弁の中で、区民の意見を伺いながらと言われます。議員は、選挙で選出された区民の代表です。その議員と区とのやりとりの中で、そのことについては区民の御意見を伺いながらということを言われるのは、一体区は議会、議員をどのように考えているのでしょうか。庁舎問題を初めとして、さまざまな課題について論議をしようとするときに、区が区民の皆様の御意見を伺ってという姿勢を持ち出すことが全く議会軽視のあらわれであると考えます。

現在の区は、以前と異なり変わってきているのではないか、特に執行体制に疑問を呈し、意見といたします。