第1回定例会での一般質問
一般質問 (2月22日)
小泉質問
通告に基づき質問いたします。
区長は一昨日の招集挨拶において、地域包括ケアの地区展開について、虐待防止を含めた子育て支援の課題があると言われました。ところが、解決策は地区の福祉の相談窓口の整備であるとされ、その福祉の相談窓口では子ども・子育てについては一切触れていません。全く縦割り行政そのものですが、区長の言われる福祉の窓口とは子ども・子育てを取り扱わないということなのですか、伺います。
さらに、区長は予防型児童相談体制の構築と言われました。日本語として間違いです。以前、議会において私は、虐待対応にはさまざまな予防対策こそが必要であって、虐待の相談まで行ってしまっては取り返しがつかなくなると申し上げ、予防のための工夫、取り組みの重要性を指摘したのですが、その結果、区が言い出したのが予防型の相談体制の充実というものです。区は全く言葉遊びをしているだけです。予防型相談体制とは一体何を意味しているのか、伺います。
区は政策の目的と手段を混同しています。政策の目的は、宮崎副区長が表明された虐待ゼロのまちづくりのはずです。児童相談所が区にあることは当然必要ですが、児童相談所が区にできれば虐待がゼロになるわけではありません。これは対症療法で、やり方によっては、なお問題が深刻化することにもなりかねません。区民を混乱させてはいけません。
児童相談所の開設はあくまでも手段であって、そのことを区民に明らかにすることが行政の役割です。さらに、地域、地区での組織連携、特にミニ児相の役割を持つ児童館との連携や、その他の施策との協力も、その具体的な姿を区民に示すべきです。区のお考えを伺います。
二月八日、政府の児童虐待防止に向けた関係閣僚会議が開かれ、首相が学校、教育委員会、児童相談所や周りの大人が悲痛なSOSの声を受けとめることができなかったと訴えられたとの報道がありました。認識が不足していると思います。地域が抜け落ちているのです。さらに、同時に発表された児童虐待防止対策のポイントも全く防止、予防の観点がなく、地域の観点が抜けています。
例えば、新たなルールとして通告元は一切明かさない、資料は一切見せない、保護者が威圧的な要求をする場合は複数の機関で共同対処するなどです。これが一体、政府が決めることなのですか。仕事をする上で、あるいは人間として当然のことを、なぜ政府が新しいルールとして策定すると言わなければならないのですか。
政府発表の他のポイントについても、全く本来の予防の観点、地域、地区の観点が欠けています。このようなことで虐待がなくなると区も考えているのか、伺います。
さきの目黒の悲惨な事件においても都の児童相談所の問題だとし、都知事が対策に乗り出し、情報共有が問題だと言われましたが、果たして都知事の問題なのでしょうか。九十万都市の責任者であるならば、世田谷の子どもの命の安全は世田谷区長が責任を持つと言うべきですが、何か言えない理由でもあるのでしょうか、伺います。
安全安心まちづくりについて伺います。
私は、歩いて暮らせる範囲内で安全安心な日常生活を送ることができるということを、まちづくりの第一の目標に掲げています。私は、この考えの中には、虐待がない、地域、地区全体で虐待を起こさない、みんなで問題を解決していく、そのように地域、地区のみんなが努力していくということが含まれていると考えますが、区のお考えを伺います。
まちづくりセンターのあるべき姿について伺います。
まちづくりセンターは単なる区役所の出先機関ではなく、区民の日常生活の安心安全を担う責任機関であるべきなのです。地区のさまざまな施設、児童館、図書館、その他施設の中心となるべきです。
目黒の事件も転入家族の問題でありました。しかし、幾ら全国の児童相談所の転出、転入の担当が連携を密にしても、地域、地区の住民には何も知らされず、何の対策もできないのが現状です。なぜなら、児童相談所は地域、地区の情報がわからないし、地域、地区では転入者の情報が全く不明であるからです。
転入者の情報を地区がしっかりと把握し、民生児童委員や町会・自治会、それに児童館などが連携して、さまざまな家族を包んでいく、これが本来の姿です。そのためには従来の出張所・まちづくりセンターの機能を超えた児童館、図書館や区民センターなどと連携した新たな地区の総合的拠点が必要となると考えますが、区の考えを伺います。
地域行政基本条例について伺います。
これまでの地域行政制度は本庁、支所、出張所・まちづくりセンターという行政組織の三層構造だけを言っていました。ここには自治体の最も大切な要素である区民の姿が位置づけられておりません。そこで、私は、地域行政制度のこれからの姿として、区民の姿も含めた四層構造であるべきと申し上げているのです。今後は、区民に最も近い地区レベルでの組織を中心に区政全体を組み立て直すべきです。さらには、さまざまな区民活動と区政運営を連携、協力させる新たな仕組みをつくり出し、それを条例上、位置づけるべきです。お考えを伺います。
庁舎整備について伺います。
全く庁舎は誰が計画を立てているのかと感じざるを得ません。次の世代の区民、職員に申しわけが立ちません。なぜ舞台の予行演習、リハーサルが舞台より小さな場所でしかできないのか。なぜホールのドアがほかのホールと同じく二重構造ではないのか。歴史云々の前に基本的なことがおざなりとなっていることは許すことができません。区の考えを伺います。
区の基本的な姿勢を伺います。
国が進めようとされることは、結局のところ見張り合う子育てなのです。地域社会を見張り合い社会に引きずり込もうとしています。間違いです。世田谷が取り組むべきことは見守り合う子育てであるはずです。区としての決意を伺います。
最後に、今の区政はさまざまな分野でセーフティーネットを政策の中心に据えようとしています。確かに弱者対策、セーフティーネットは必要不可欠なものですが、私は、これを政策の中心に据えては社会の健全な発展はあり得ないと考えます。問題点を取り上げて、その原因を追求し、対症療法に全力を尽くすだけでは、世の中がよくなると、そのことで世の中がよくなるとお考えなのでしょうか。
私は、まず、あるべき地域社会の姿を高らかにうたい、地域で全ての人々が安心して楽しく暮らしていけるビジョンを明らかにすることが、今の世田谷にとって何よりも必要と考えます。
区のお考えを伺い、これで壇上よりの質問を終わります。答弁は簡潔にお願いいたします。
保坂 区長
小泉議員にお答えをします。
私からは基本的な事項について二つお答えをします。
私も、児童虐待対策について、いわゆる見張り合うということではなくて、子育てを温かく相互に見守っていく地域社会が大変大事だというふうに考えております。世田谷区の子ども・子育て応援都市宣言の中には、子どもは地域の宝であり、大人は子どもを見守り、励まし、支える、そして地域は子育て家庭が楽しく子育てできるように応援すると掲げております。
私は、このような理念と、地域を主体とする独自の地域行政制度のもとで、この間、さまざまな子ども・子育て支援施策を展開し、その充実を図ってきました。
今般、区立児童相談所の設置を契機とした、これまでより効果的な子ども・子育て政策の展開について、地域包括ケアの地区展開をさらに充実させた観点から、地区における見守りや相談の中核を担う拠点を明らかにするとともに、地域社会、地区の多様な人材や機関、グループあるいは個人がさらに連携を密にして、子どもや家庭に寄り添った見守りができる体制をつくっていくことが大変重要だと考えています。世田谷区長として、子どもたちの命を守り、その将来に重大な責任を負う者であることを踏まえ、今後とも「みんなで子どもを守るまち・せたがや」の実現に向けて取り組んでまいります。
次に、セーフティーネットについてです。
これまで私は世田谷区長として、子ども・子育て支援について、また、高齢者、障害者の福祉を向上させる施策について、そして、今回の児童相談所の開設など、区民の生命や権利を守るための、おっしゃるところのセーフティーネットの構築に取り組み、福祉サービス基盤の充実を進めてまいりました。
この取り組みを推進する中で、区民参加を通して地域での互いの顔が見える関係を築くことが重要だと考え、高齢者の見守りや地域ぐるみの子育て支援など、お互いに気づき支えあう地域づくりを進めることで、支援を必要とする人が孤立してしまうことのない共助、共生の地域社会づくりを目指しているところであります。
幅広い区民参加のもとで地域行政制度のこれからの進化、改革に取り組む中で、これまで既に培われてきた地区における支えあい、助け合いのコミュニティーをさらに発展させ、未来へと引き継いでいきたいと思います。
区民一人一人が地域の課題を我が事として捉え、行動する、そうした住民自治に基づいていく地域社会をつくるという信念のもと、効果的な地域行政制度の改革、条例化も踏まえて、これからしっかり構築をしてまいりたいと思います。
宮崎 副区長
私からは、虐待防止の相談窓口、予防型児童相談体制、さらには児童相談所の位置づけ、これらにつきまして一括で御答弁申し上げます。
まず、議員の御指摘のとおり、虐待ゼロのまちづくりが目標、目的であり、その実現に向けた取り組みといたしまして、児童相談所の開設とともに虐待を未然に防止する予防型行政の構築を目指すものでございます。したがいまして、児童相談所が区に移管すること自体を目的としているわけではございません。
虐待の未然防止の徹底に向けましては、地域の見守りや子育て支援施策のさらなる充実を図ることで、育児不安や育児負担の相談や、身近な方の気づきから早期の問題解決につなげていかなくてはなりません。平成二十六年度よりモデル事業として開始した地域包括ケアの地区展開では、子どもや子育て家庭からの一義的な相談は福祉の相談窓口でも受けられるものとしており、育児不安や虐待の早期発見についても、あんしんすこやかセンターの職員研修を実施、取り組んでまいりました。
これを踏まえまして、まず、子ども家庭支援センターの体制の強化をし、児童福祉分野におけます福祉の相談窓口のバックアップ体制をより充実させることで包括的、継続的なケアを提供できる体制づくりを進めます。
次期子ども計画(第二期)後期計画におきまして、児童館、保育園を含め、地区の子どもに係る相談や見守り拠点を明らかにいたしまして、子どもに係ります相談支援体制を充実させるとともに、子ども家庭支援センターと児童相談所の一元的な運用により、効果的な虐待の発生予防と早期発見、再発防止の徹底を図ってまいります。
以上でございます。
岡田 副区長
私からは、地域行政の推進に関する条例の制定に関連しまして御答弁申し上げます。
地域行政制度は、地域住民に密着した総合的な行政サービスと、地域の実態に即したまちづくりを展開するとともに、区政への住民参加の促進を図ることを目的として、平成三年度に五つの総合支所のもとスタートし、特に地域コミュニティーの重要性が再認識された東日本大震災以降は、地区まちづくりに重点的に取り組んでまいりました。
地域行政制度の発足から二十七年がたち、この間、急速な高齢化の進展や地域コミュニティーの希薄化など、地域を取り巻く環境が大きく変わる中で、地域行政制度のあり方を改めて検討する時期に来ております。そのためには今後の自治権拡充を見据え、地域の課題は地域で解決することを基本に、地域内分権の観点から地域、地区のあり方について十分に議論を積み重ねながら、区民と理念を共有するとともに、区民からの幅広い理解を得ていくことが不可欠です。
これまでの地域行政制度の検討過程や実績を振り返りながら、地域行政制度の条例化の検討を進め、住民自治の実を上げていけるよう、しっかりと取り組んでまいります。
以上でございます。
澁田 子ども・若者部長
私からは、区は国の対策で虐待がなくなると考えているのか、また、世田谷区の子どもの命を守れるのは区長が責任を持つべきことについて、あわせて御答弁いたします。
今回国が打ち出した対策は、児童相談所及び学校における子どもの緊急安全確認等の実施を初め、要保護児童等の情報の取り扱いに係る新たなルールの設定、児童相談所、市町村、学校及び教育委員会の抜本的な体制強化など、主に行政において実施すべき内容が盛り込まれたものでございます。
区といたしましては、本対策の趣旨を十分に理解し、今後、学校及び教育委員会等とのさらなる連携体制の構築に向け、準備を加速させるにとどまらず、議員の御指摘にありましたとおり、身近な地域で支えあいながら子どもや家庭を支援する環境の整備が必要であると考えております。
地域の方とともに顔の見える関係を築いてきました区だからこそ、実効性を伴う児童相談体制の構築ができるのであり、世田谷区は、子どもたちがいきいきわくわく育つまちを目指すとともに、区の子どもの命は区が守るという決意のもと、引き続き、地域との協力連携を図りながら、みんなで見守り支えていく、区ならではの児童相談行政の実現を目指してまいります。
以上でございます。
澤谷 砧総合支所長
私からは、歩いて行ける範囲内での安全平穏なまちづくりと、虐待予防について御答弁申し上げます。
区では各地区のまちづくりセンターに福祉の相談窓口を開設し、高齢者を初め障害者、子育て家庭などの相談を受け、適切な支援に結びつけるとともに潜在化、複合化した課題に取り組んでおります。
福祉の相談窓口では日常的にさまざまな相談を受けることから、虐待の疑いのある相談もございます。虐待に関する相談は早期に適切な対応をすることが重要であることから、総合支所保健福祉課や子ども家庭支援センターで対応し、高齢者虐待に関しては、あんしんすこやかセンターでも相談を受けております。
虐待を発生させない予防の取り組みにつきましては、日ごろの地区におけるまちづくり活動の中で顔の見える関係をしっかりと築き、介護や子育ての中で孤立することがないように、お互いに声をかけ合い助け合える関係づくりを進めていくとともに、各関係機関との連携強化に努めてまいります。
以上でございます。
志賀 地域行政部長
私からは、まちづくりセンターが単なる区の出先機関ではなく、地区の中心施設となるべきという点について御答弁申し上げます。
地域で安心して住み続けられる地域社会の実現に向けては、区民の生活に密着した課題を区民と行政が共有し、事業者や地域活動団体などとも連携して解決していくことが重要であると認識しております。
これまでも、まちづくりセンターにおいては、地区の多様な活動団体とのネットワークの構築による身近なまちづくりを進めるとともに、地域包括ケアの地区展開、地区防災力の強化などに取り組んでまいりました。
今後、人口の増加や、さらなる高齢化が進む状況にあって、まちづくりセンターを中心に、区民が抱える日常生活の困り事を相談する福祉の相談窓口の充実を図り、区や区民、事業者などと連携した子どもや高齢者の見守り活動を一層進めていくことが重要です。
さらに、区民の自主的な活動の支援など、地区の拠点施設として、まちづくりセンターの重要性がますます高まるものと認識しております。児童相談所の移管など、総合的な児童相談行政の展開を見据え、また、児童館など地区における他の施設とも連携し、地域全体で区民の安全安心や子どもの成長を見守る地域社会の構築に向け、まちづくりセンターや総合支所のかかわり方や位置づけについて検討してまいります。
以上です。
松村 庁舎整備担当部長
私からは、庁舎整備におきまして、区民会館の練習室の大きさや、ホールの二重扉などについてお答えをいたします。
世田谷区民会館は、講演会や式典などのほか、音楽や演劇など多様な区民活動や講演に対応できる多目的ホールとして整備をするため、この間、検討を進めてまいりました。今回、舞台、客席等のホール機能や音響性能、楽屋機能、そして、練習室や出演者の動線の新設などの機能向上を図り、これからの公共ホールとしての求められる機能を備えた施設として、その基本的な仕様を基本設計案において示したところでございます。
御指摘の二点に関しましても、この間の御意見を踏まえまして、建物の構造的な制約などがある中で、ホワイエからの音や、光の遮蔽や、練習室につきましては舞台の開口と同程度まで拡張するなどの改善に努めてきたところでございますが、今後、実施設計の中でさらにホール機能の向上に向け検討をしてまいります。
今回再整備される世田谷区民会館が文化芸術の魅力を発信し、区民自治と協働の交流の拠点となるよう設計を進めてまいります。
以上でございます。
小泉質問
私は、質問通告をし、詳細に説明をしています。であるのに、答弁はこれまでの答弁内容を繰り返すだけ。意気込みも誠意も感じられないのは、これは一体どうしたことか。再質問したいところですが、きょうはやめておきます。
区は保育園待機者ゼロと言い、虐待ゼロのまちづくりと言いますが、それは現象名を言っているだけであって、そのことが実現されれば世田谷がこのようによくなる、このように楽しくなるというビジョンを語っていません。単に課題を処理しているだけです。
今必要なことは、それぞれの課題を解決すれば世田谷がこのようによくなる、だから一緒に頑張りましょうと高らかに言うことではないでしょうか。これを誰が言えるかということですが、区長に何かお考えがあればお伺いをいたします。
保坂 区長
再質問にお答えをします。私の考えを申し述べたいと思います。
虐待防止、虐待ゼロは、これは緊急事態を回避するためにどうしても到達をしなければならない目標でありますが、これは最終ゴールかといえば、おっしゃるように、虐待がないというだけではなくて、子どもに対する愛情があふれて、そして地域や子育て家庭をしっかり支えているコミュニティーがどんどん進展をしていく。地域のお祭りに行くと、地域によってはお子さんたちがかなり前に出て表現をしていたり、あるいは大人たち、あるいは高齢者の方のブースを中学生が支えていたり、そういった姿も既にあると思いますけれども、虐待がないということについては、そこでぜひ実現をすると同時に、大人も子どもも挨拶を交わして、お互い顔を知って、そして、子どもたちも家の問題で悩んだときに相談できる大人がいたり、あるいは、その場があったり、そういう姿をつくっていきたいというふうに思っています。
子どもたちが大切にされ、地域資源の中で豊かに育っていく。そういう明るい姿を描いていきたいというふうに思いますし、また、待機児童ゼロも、これ自体はなかなか困難な課題ではありますが、これは実現しなければいけない課題であります。しかし、そこが全部ゴールで終わったということでは、やはりないというふうに思っておりまして、これは保育の質をキープするという、大変重要でございます。
昨日でしたが、ちょうどお昼の時間に参議院内閣委員会、十人の参議院議員の方が来られました。企業主導型保育の中で何が起きているのかと。それで聞きたいということでお越しになったわけなんですが、児童相談所をつくりますと、認可外、企業主導型保育も認可外なんですね。これも全部世田谷区がしっかり見ていくことになります。
ですから、まず子どもたちが一人一人が大切にされる保育の水準が、どんな形態の保育所でも底上げされていくことと、もう一つ、新たに人気を博して注目を集めている、保育園の中でコミュニティーソーシャルワーカーというのを置いて、地域に保育園を開いていくと。そして、その地域が、運動会が復活したり、さまざま地域の方が保育園にお茶を飲みに来たり、いろんな行事を一緒に手伝ったりというふうなことを、すごく力を入れている園がございます。
そういう意味で、保育園が、ただ預かっている場所としてあるだけではなくて、地域の宝として大切にされる、そのことを待機児童解消の先に、同時に目指してやっていきたいと思います。
小泉質問
以上で質問を終わります。