第3回定例会での一般質問

一般質問 (9月20日)

小泉たま子

通告に基づき質問いたします。

まず、児童相談所整備についてです。

私は、一刻も早く児童相談所機能を世田谷区で持つべきとする立場です。

その前提のもとですが、報道等によれば、全国の児童相談所への虐待相談・通告が二十七年連続で過去最多を更新し、厚生労働省は悲惨な事件を受けて四十八時間以内の安全確認のルール強化を指示したとのことです。

国は、二〇二二年度までに児童福祉司を二千人増員することを決めたとされます。これらの対応策に疑問を持ちます。全くの対症療法ではないでしょうか。

区長は、一昨日の招集挨拶において、児童相談所が保護者との対話を重視したきめ細やかな支援を行うと同時に、虐待防止のプロセスを誘導するとされ、さらに相談のあらゆる場面において、子どもの権利が保障され、最善の利益が優先されたみんなで子どもを守るまち・せたがやの実現を目指すとされました。疑問です。今の区政は、児童相談所を中心に、子どもの成長を見守り、育てていこうというのですか。

熊本区政において、従来の対症療法型区政運営から予防型区政運営に転換するとされ、その象徴として、全国で初めて子ども部をつくり、子ども計画をつくったのです。そこでは、元気な子どもがより元気になるように、そして、いざというときのセーフティーネットにかからないようにすることが大きな課題だったはずです。その考えが崩れています。

区長の言われるみんなで子どもを守るまち・せたがやとは、誰がどう守るのでしょうか。今の仕組みでは、子どもの命を守るためになるべく早く通報し、迅速に対処するということの充実になりますが、これでは、地域で見守り合いではなく、見張りを行えということです。この姿勢は根本的に間違いではないでしょうか、お答えください。

さらに、子ども部設立の理念に立ち戻り、子ども政策を対症療法型行政から予防型行政に戻すべきです。お考えを伺います。

また、地域の児童館こそが子育ての中心となるべきであって、そのために、宮崎副区長が児童館の全区展開、再整備の方針を出され、評価します。

そこで、改めて児童館のミニ児相機能を明確にすべきと思います。お考えを伺います。

その上で、世田谷独自の施策として、子ども家庭支援センターのさらなる充実と児童館との連携を明確にすべきです。子ども家庭支援センターの所管である総合支所長のお考えを伺います。

これらの仕組みを健全に運営していくために、早急に児童館の地域移管を実現すべきです。区のお考えを伺います。

子どもの安全を児童相談所任せにすることから、脱却しなければなりません。これらの取り組みを進め、幼児虐待ゼロ、結果として虐待通告ゼロを目指すことを世田谷区として表明すべきですが、区のお考えを伺います。

次に、縦割り行政について質問します。

ある大学病院で、心臓の治療でCT検査を受けた患者さんが、肝臓がんの疑いの結果が出ていたにもかかわらず、病院全体として見落とし、担当医が心臓の治療だけを行い、結果、その患者さんの治療が手おくれとなって死亡された事件がありました。

大病院で、それぞれの専門家が患者さんの体の自分の専門のところだけを診る、その患者さんを一人の人間全体として診る人がいないことが問題です。

世田谷区も縦割り行政組織の典型であり、同様の問題があります。区民の情報が共有できないのも当然です。日に日に組織が拡大、複雑化しています。

区長は招集挨拶で、区長就任以来、長い間、手がつけられなかった慣習にもメスを入れた行政手法の見直しを進めたと言われましたが、実際はどうでしょうか。全国初めての総合的な取り組みである子ども部を子ども・若者部として、子どもと若者を分離し、さらには保育担当部を独立させたのです。

組織がふえればふえるほど情報の共有は難しくなり、そのための会議もふえるのです。組織を抜本的に見直し、本来の予防型行政の仕組みを実現すべきです。区のお考えを伺います。

地域行政について伺います。

区は、大都市世田谷の特色である地域行政制度を尊重すると言われますが、その地域行政の考え方そのものに疑問があります。

地域行政を三層構造とだけ捉えていることが問題であり、区民の位置づけがないことが問題です。改めて、地域行政は人を中心とした行政を展開する仕組みだということを表明すべきです。お考えを伺います。

目黒の虐待事件を受け、都知事は、転入時の情報共有強化と言われましたが、この転入時の情報共有は、児童相談所対応の児童が転居するときのことを言っているにすぎないのです。子どもは家庭とともに、地域の中で総合的に受けとめるべきものです。

区民を総合的に一人の人間として捉えることは、本庁の縦割り行政ではできません。この役割は、出張所・まちづくりセンターが担うべきものです。地域行政の理念を再確認し、まず基本的考えを打ち出すべきです。地域の責任者である支所長のお考えを伺います。

今、行政が点でしか見ていない区民を点と点をつなぎ合わせて、一人の人間と位置づけるのは地区の責任者である出張所長、まちづくりセンター長なのです。そのために、管理職が地区に必要ですが、区のお考えを伺います。

本庁舎整備のあり方に疑問があります。

報道によれば、総務省は、人口減や少子高齢化を踏まえて、二〇四〇年ごろを想定し、現在の半数の職員でも地域の行政機能を維持できるように自治体のIT化を加速するとされています。当然の取り組みと考えます。

このことについて、区の担当部門にお聞きしました。すると、驚くことに、今後二十年、世田谷区は人口がふえ続け、その対応をする、そのための本庁舎の規模であり、その後はわからない、そのときに考えると言われました。全く将来展望が感じられません。

区長の招集挨拶で、今後の行政需要の増加や、狭隘な職員のワークスペースを改善するために、庁舎などの規模を約七万平米とすると言われました。区の内部の事情だけを考えています。全くひとりよがりではないですか。

本来であれば、今後三十年、四十年、五十年、六十年後に区民生活はどうなっているのか、それに見合った行政のあり方はどういうものなのかという議論があって初めて本庁舎をどうするという考えになるべきです。

担当部門は、現在の区役所の業務内容をもとに、会議室が足りない、机が足りない、区役所に来る区民がなるべく行ったり来たりしないようにという観点から、本庁舎をつくろうとしていますが間違いです。会議室が足りないのではなく無駄な会議が多いのであり、机が足りないのではなく効率的な仕事の仕組みを導入すべきであり、本来、わざわざ区役所に来ないで済むように地域行政の展開をすべきなのです。

そのことを指摘すると、これらの課題については今後考えていきますと言われますが、考え方の筋道が全くありません。私は、次の世代の区民、そして職員に説明ができません。これらの課題について早急に結論を出すべきです。あるべき姿を全く考えようとしない今の区の姿勢に疑問を持ちます。

区の誠実な回答を求めて、壇上からの質問を終わります。

澁田 子ども・若者部長

私からは、児童相談所設置について二点お答えいたします。

まず、一点目でございます。みんなで子どもを守るまち・せたがやのキャッチフレーズについてと予防型の子ども施策を目指し、児童虐待通報ゼロの目標を明確にすべきという点にお答えいたします。

お話にございましたみんなで子どもを守るまち・せたがやは、子ども家庭支援センターと児童相談所の連携にとどまらず、地域の力を最大限に活用し、区民一人一人が愛情を持ち、円滑なコミュニケーションのもとで、子育てを助け合う温かな地域社会の実現を目指すことを目標としてお示ししたものでございます。

区は、これまでも予防型行政を目指し、さまざまな施策を展開してまいりましたが、児童相談所を区が設置、運営することで、一貫した方針に基づく予防型の児童相談行政が実現できるものと考えており、その実現に向けて努力を重ねてまいりました。

また、区は、地域による見守りや居場所に係る施策のさらなる充実を図り、虐待通報を必要とする事態に至る前の気軽な子育て相談から早期に問題を解決につなげていくことが最も重要であると考えております。

予防型の児童相談行政の実現により、虐待通報ゼロを目指しまして、引き続き全力で取り組んでまいります。

二点目でございます。児童館は子ども家庭支援センターと連携を図ることを明確にすべき、また、早急に児童館の地域移管を進めるべきという点にお答えいたします。

区は現在、今後の児童館のあり方、機能拡充等について、外部委員から成る世田谷区立児童館のあり方検討委員会に区の考えや施策の方向性等をお示し、御意見をいただき、具体化を図っているところでございます。

検討委員会では、身近な地区にある児童館として、これまでの児童健全育成事業を基盤として、信頼関係のもと、敷居の低い相談や気づき、見守り等の支援、地域の活動団体やまちづくりセンター、あんしんすこやかセンター、社会福祉協議会の三者と連携した支援などの機能を高める必要があるとの御意見をいただいております。

今後は、地区の児童館が相談や気づきを適切にアセスメントし、子ども家庭支援センターなどと緊密に連携しながら、対応がおくれ、重篤な事態に陥ることのないよう、早期発見・対応の機能を強化して担うものと考えております。

そのためには、職員のアセスメントスキルや意識の向上を図るとともに、児童館の再整備や、子ども家庭支援センターとの連携手法等についても検討してまいります。

また、本年十二月にお示しする予定の児童館の今後の方向性や方針等を踏まえまして、児童館の地域移管につきましては、児童館や総合支所における執行体制の充実、児童館の再整備の取り組みなどを進める中で、児童相談所移管に対応できるよう、組織、人事、財政面の観点も含め、速やかに判断してまいります。

以上でございます。

澤谷 砧総合支所長

私からは、二点御答弁申し上げます。

初めに、児童相談所の移管後は、児童館や地域をつなぐ子ども家庭支援センターの役割が一層重要になる、子ども家庭支援センターとしてどう捉え、どのような役割を果たすのかについて御答弁申し上げます。

子ども家庭支援センターでは、児童館を初め地域の保育園や学校、医療機関や警察、あんしんすこやかセンター、主任児童委員など地域のさまざまな関係機関と密接につながる要保護児童支援地域協議会におきまして、児童虐待防止などについての啓発や情報共有を密にはかることで、ふだんから顔の見える関係を築き、日ごろより通報や相談がしやすい関係づくりを構築しております。

児童相談所開設に向けては、子ども家庭支援センターが児童相談所と一体となった一元的かつ地域の支援を最大限に活用した総合的な予防型の児童相談行政を地域一体となって取り組むために準備を進めております。

総合支所といたしましては、これまでの地域包括ケアの取り組みから、地区での課題については、まちづくりセンターとの連携がより重要になってきております。子どもの安全安心の確保はもとより、子どもの最善の利益のために、虐待のない子どもたちが自由に伸び伸びと成長できるような地域づくりに総合支所を挙げて全力で取り組んでまいります。

次に、まちづくりセンターが重要であるという基本的な考え方について、総合支所の立場から御答弁申し上げます。

区は、地域に密着した行政を行うことで、真の住民自治を確立するという地域行政の理念を念頭に、高齢化や防災などの社会動向を見据え、地区地域の強化に向けた取り組みを進めております。身近な地区の行政拠点であるまちづくりセンターにおいては、区民が日々の生活の中で抱えるさまざまな課題を受けとめるとともに、地区のイベントなど、人と人との交流を通じて住民との信頼関係を築き、区民と行政がともに地区を形づくっていくことが重要であると認識しております。

今後も、まちづくりセンターが区民一人一人の生活にかかわりを持つという認識のもと、まちづくりセンター所長を中心に、地区の実態を把握し、地区のコミュニティーの力を高め、それぞれの地区特性に応じた課題に機敏に対応することができるよう取り組んでまいります。

以上でございます。

岩本 政策経営部長

私からは、予防型行政への転換、縦割りからの脱却について御答弁申し上げます。

区民の生命、財産、安心を守ることが行政の役割であり、虐待予防や早期対応に重点を置く児童相談所の設置の取り組みを初め、予防型行政を積極的に推進する必要があります。

そのためには、各所管が区民一人一人の生活を総合的な視点で見て、担当所管外の課題にも気づき、縦割りを超えて横断的に連携しなければならないと認識しております。

世田谷区基本計画では、マッチングの推進を掲げ、目的を共有し、縦割りを超え、さまざまな分野や主体を横つなぎ、組み合わせることで、課題の解決を図る横断的取り組みの推進を大きな柱としております。

新実施計画後期においても、幼児教育、保育の充実や地域包括ケアシステムなど、縦割りからの脱却が不可欠な施策に連携して取り組んでおります。

業務上の責任の所在を明確にするため、各所管の事務分掌を定めておりますが、もとよりお話しいただきましたとおり、区民の生活は行政の分野別に分けられるものではなく、課題解決には職員それぞれが自分の権限と責任を持ち寄って、横断的、総合的に連携することが欠かせないものと考えております。

そのような意識の醸成に努めるとともに、事業の立案や執行に当たっては、常に柔軟な組織運営を行い、各部が連携協力するよう取り組んでまいります。

以上でございます。

志賀 地域行政部長

私からは、地域行政制度について二点御答弁いたします。

まず一点目、地域行政は人を中心とした行政を展開する仕組みである、区の見解をということでございます。

区は、地域に密着した行政を行うことで真の住民自治を確立するという地域行政の理念のもと、地域住民に密着した総合的な行政サービスと地域の実態に即したまちづくりを展開するための仕組みとして、地域行政制度を平成三年度に導入いたしました。

地域行政制度は、大都市世田谷にあって、より身近な地区において行政を行い、区政への区民参加の促進を図るものであり、お話にもございましたように、地区に暮らす人を中心に行政を展開するものであると考えてございます。

続きまして、地区の責任者であるまちづくりセンター所長には管理職をという点について御答弁申し上げます。

地区に着目した行政を展開する上で、最も身近な行政拠点であるまちづくりセンターが果たすべき役割が重要であり、現在、各総合支所に総合支所特命担当の副参事を配置し、地区の責任者であるまちづくりセンター所長として、総合支所との連携のもと、多角的な視点から積極的にまちづくりの取り組みを推進する役割を担っております。

地区の行政拠点であるまちづくりセンターが、子どもから高齢者までの日常生活をトータルに捉え、まちづくりセンター所長を中心に効果的な対応を行うことができるよう、地区経営の観点からも、まちづくりセンターの充実に取り組んでまいります。

松村 庁舎整備担当部長

私からは、本庁舎整備は、将来を見据えて、行政のあるべき姿を考えてから取り組むべきという質問にお答えをいたします。

本庁舎整備におきましては、将来を見据え、複雑化する課題に対応するため、縦割りから横つなぎへマッチングを推進すること、地域地区を重視した地域行政制度の推進と本庁と地域地区の役割を明確にすること、そして、今後、区の人口が当面増加する推計に対応しつつ、将来の状況変化にもフレキシブルに対応でき、長寿命で持続可能な庁舎とすることなどを本庁舎等整備の基本理念とし、これをもとにしまして、若手職員を中心としたワークショップでまとめた意見も踏まえ、現在、各フロアの平面計画などの基本設計を進めているところでございます。

具体的には、各フロアは業務効率性が高く、部署間連携や将来の変化にも対応しやすい横移動を主とした間仕切りのない大空間とし、また支所の独立性、区民の利便性から、西棟の一階に世田谷総合所を配置し、その二階以上に支所と本庁との連携、役割分担を踏まえた本庁機能各部署を配置する計画を今回お示しをいたしました。

また、先日、二百名を超える職員が参加しました基本設計(案)中間報告の職員説明会では、庁内で検討しているAIやRPAなどの導入による定型業務の効率化などを目指す働き方改革の取り組みを紹介し、これからの新しい働き方を支える庁舎の執務環境のあり方について方針を示し、庁内からの提案も求めたところでございます。

今後も基本設計、さらに実施設計の中で機能的、効率的で柔軟性が高く、新しい働き方を支える庁舎の実現に向けまして、詳細に検討をしてまいります。

以上でございます。

小泉たま子 

質問は事前に通告いたしましたが、全く答弁になっておりません。

答弁で、予防型の児童相談行政を目指すとされましたが、これが矛盾です。児童相談になってしまったら、問題が起きているのです。だから、そのような問題が起きる前に地域で解決していこうと言っているのです。予防型の児童相談というのは論理矛盾です。

区長に伺っても、子どもを守るとしか言わないわけですので、実務の責任者の宮崎副区長に伺いますが、児童相談所はもちろん移管する、それだけでなく児童虐待ゼロを区民とともに全力を挙げて実現すると決意表明をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

宮崎 副区長

再質問に御答弁申し上げます。

ただいま部長のほうから、それぞれの担当のほうで御説明を申し上げましたが、それぞれこの予防型行政の部分のところについて取り組んでいきたいという意気込みをお示しさせていただいているものと思っております。

今般の児童相談所の都からの移管、これも、今、議員のほうからいろいろ御指摘いただいた部分についての、私たちとしますと、この移管がまず大前提になって、セーフティーネットが張られるということがまず大前提にないと、この予防型行政の部分において推し進めていくことが難しいというふうに思っています。

そういう意味では、縦割りという御指摘もございましたけれども、それぞれの行政体が都と区という形になっている部分を区に持ってくることによって、その辺の一元的な管理をしていくということが、ひいては児童虐待通報というものが、ないにこしたことはありません。しかし、現実的にはまだまだそこまで至らないという状況の中では、今がちょうど子ども家庭支援センターと児童相談所のほうに大体五十、五十の比率で相談が参っているという状況がございますので、これをまず、子ども家庭支援センターのほうに比重をかけていけるということをやっていきたいと、ひいては、それが児童相談所のほうから子ども家庭支援センターのほうにシフトしていくということが、これが予防型行政の形になってくるものというふうに思っていますし、それを目指していきたいと思っています。

例えば、児童相談所のほうに、今回、区としては、東京都のほうの今の人員体制を厚くさせていただきまして、世田谷区としては人員の専門化の部分も含めまして多く配置したいと思っていますが、これも、その状況が生まれてくれば、子ども家庭支援センターのほうにそのノウハウを引き継いでいくということによって、やはり予防型行政ができてくるんじゃないかと思っています。

その中でも、先ほど地域行政のほうに触れられましたけれども、やはり地区というところで見守りができてくるということが必要です。そういう意味では、区民の皆様にも力をかしてほしいと、このように思っていますし、また、そのことは区のほうからもまめに情報を発信していく、その中で、まちづくりセンターということについても機能していかなきゃいけないと、このように思っております。

以上です。

小泉たま子

本庁舎整備の検討は全く疑問だらけ。答弁でも、人口減少についてその後の変化にもフレキシブルに対応すると、こうされましたけれども、つまり、今考えていないと、そのときに考えるということです、それは。余りにも出たとこ勝負で、でたらめです。全く区の検討を信頼することができません。

以上で質問を終わります。