第2回定例会での一般質問

一般質問 (6月16日)

小泉質問

まず、行政改革の在り方についてです。

コロナ禍を経験した行政として、地域行政はいかに推進すべきか、根本から見直すべきです。今回条例化のスケジュールが延期されましたが、単なる延期では意味がありません。コロナ禍により、全ての行政分野、区民との関係が見直しを迫られている、その危機感を世田谷区は持っておられるのか、お考えをまず伺います。

今回、区から出され、区民への説明に用いられた地域行政推進条例の資料には、コロナ禍で行政がどう変わっていくか、区民との関係をどのように変えようとしているのかの観点が全く欠けています。区は、区民をお待たせするということについて、全く普通の感覚を持ち合わせていないのです。三月、四月、五月の窓口は混雑するのが当たり前、待たせるのが当然という意識は、全く一般の感覚から離れています。コロナ禍になっても、やることは受付の行列の間隔を空けることだけ。その結果、列が建物の外に出ても致し方ないという区役所の考えは、あまりにも無神経です。日々の業務についての見通し、展望、想像力というものが全く欠如しています。常に大きな視点で行政運営を行うべきなのです。

本来の九十二万大都市の規模を生かしながら、きめ細かな行政サービスを展開するという理念はどこへいったのか、お考えを伺います。

大きな自治体だから、他の自治体のように素早くはできないという言い訳が庁内に充満しているように感じられます。これがもし二十万都市の五つの集合体であればどうなっていたか。それぞれが創意工夫し、ワクチン接種もよりスムーズに、身近な場所でできたであろうことは想像に難くありません。今の区は、検討ばかり、会議ばかりで、解決が先延ばしにされるばかりです。

世田谷の行政の体質改善を行うべきと考えますが、区に具体的な方策はあるのか伺います。

今回、議会に情報提供された文書の題名が、今後の接種券の送付についてです。この題名が今の区の考えを象徴しています。接種のスケジュールのお知らせではないのです。国が六月中旬を目途とし、広く区民へ接種券を送付することを自治体に求めている。さらに、大規模接種や企業、大学等で職種、学校単位での接種が開始される方針が打ち出されたと書かれています。そして、文書によれば、こうした動向を踏まえ、区では六十歳以下の接種券の発送を行う。区は、国から指示が出たから、民間の動きが出てきたから、それに沿ってのワクチン接種を行うというのです。区として、区民の方々に何とか一日でも早く接種していただいて安心していただこう、コロナ感染の拡大を防ごうという意思、意欲が全く感じられません。

さらに、文書によれば、今後、国や都の大規模センターや職場での接種など、居住する自治体以外での接種体制が順次拡充、多様化し、あらゆる年代に接種機会が生じることで、年代にかかわらず接種券を必要とする方の増加が見込まれることから、今後は速やかに接種券を届けることを優先するとなっています。接種券を欲しい人が多くなるだろうから接種券を早く配る。何という主体性のない考え方ですか。さらに、文書によれば、これまで予約システムやコールセンターへの一時的な負荷の集中を避ける観点から、一定期間を置いて年代別に発送することを基本としてきた。今後は、できる限り一時的な予約の集中を避けるよう工夫するとされながら、その工夫とは、送付時期の間で複数回に分けて発送するとされるのです。これが工夫と言えるのでしょうか。

区は、一時的な予約の集中は、結局区民が悪いとされるのです。遊園地の入場券の先着順配布とは全く異なるものです。予約の集中は区民の不安そのものです。ですから、予約を分散させるのではなく、予約を多く受け付けるシステムを構築すること、これが本来の仕事のはずです。そして、信じられないことに、この文書が出されたのは、質問通告の締切りの後です。ですから質問にはしませんが、あまりにも区の対応がひどい。区民に、そして区議会に分かっていただく、相談するという姿勢が全くないことが問題であり、今の区政に不信感を持ちます。

地域行政もDX改革も、まずはこのコロナ禍において区民をお待たせしないこと、事例として、どのようにしたら、区民に早く安心して身近な場所でワクチン接種を行えるようになるかを考えるべきです。お考えを伺います。

コロナ禍を経験した後での基礎的自治体の最も大きな課題は、対面サービスの強化です。もちろん、モニター画面を通じての対応も、やり方によって対面サービスです。区民は、身近な地区の拠点施設に行けば全てのことができる、わざわざ交通機関を使って区役所や支所に行く必要はない。この姿を思い浮かべ、その実現のためにはDXでどのように創意工夫をすればよいのか、このように考えるべきです。お考えを伺います。

コロナ禍は、阪神・淡路大震災、そして東日本大震災に匹敵するものです。私は、全ての有益な発想は現場からこそ生まれてくるという立場です。阪神・淡路、そして東日本大震災からしっかりと学ばなければなりません。岡田副区長はその両方について、区の支援第一陣として現場に乗り込まれ、何事にも代え難い大きな経験をされたはずです。現在、コロナ禍で地域行政の改革の担当をされていますが、これらの経験から、現時点での今後の世田谷の地域行政の在り方についての基本的考え方、コロナ禍を経験した自治体の責務について、副区長のお考えをお聞かせください。

この改革を進めるための大きな仕掛けがDX改革のはずです。DX改革は、国からの指示により、まずはできるところから、スモールスタートとして行政手続の電子申請から取り組むこととなっていますが、単なる行政手続の電子化に終始していては、物事が複雑になるばかりです。

世田谷区は、これまで様々な分野で先進自治体として取組を進め、独自の事業を行ってきている。それゆえ縦割りも多く、手続なども多くなっているとも言えます。今回、これらの縦割りをなくし、相談からサービス供給までを迅速にワンストップで行うということを大きな政策目標と位置づけ、DX改革の到達点として、全庁を挙げて取り組むべきです。お考えを伺います。

改革を進めるに当たり、いわゆる検討委員会行政が問題です。区が課題について何ら主体的に考えず、専門家と言われる方々による検討委員会に問題を渡し、的確な対応をしていないと感じられます。区は、議会と区を車の両輪に例えられますが、その片側、区が補助輪である検討委員会に実は支えられていて、自分独りでは動くことができない、このような状態でよいのでしょうか。区の責任放棄となりかねません。昨日、私たちの会派の質問に区が答えられましたが、今後その姿勢を見直すべきです。

次に、国、都などの大規模開発に対する区の対応について伺います。

外環道や鉄道立体化整備は、一地域の問題ではなく首都圏全体の問題です。一方で、工事当該地域には絶大な負荷を与えます。そのことを地元自治体は真剣に考えるべきです。

外環道整備はトラブルから整備期間が延長となりましたが、その間も地元自治体としてなすべきことは、自ら計画を立てて積極的に取り組むという姿勢を見せるべきです。特に、外環の森などの外環上部空間における象徴的な事業についての区の考えを伺います。

次に、最後ですが、地域を支える地域産業の在り方について伺います。

コロナ禍を経験して、区を支える産業の在り方について考え直すべきです。特に、区民生活を支える福祉施設事業所や、将来の社会を支える児童生徒のためのGIGAスクール構想を支えるIT産業などを、区の産業政策としてきちんと位置づけ、組織として対応し、さらには、その支援拠点として旧池尻中学校跡地を活用すべきです。

区のお考えをお伺いし、壇上での質問といたします。(拍手)

宮崎 副区長

私からは、二点について御答弁申し上げます。

最初に、区民本位の行政、これをDXの目標として全庁で取り組むべきではないかという御提案です。

デジタルトランスフォーメーション、DXは、単なる行政の電子化ではなく、デジタル技術の導入や活用をきっかけといたしまして、従来の仕事の進め方や行政サービスを変革し続けることであるものと認識しております。DX推進方針におきましても、区民の視点からの変革に向けまして、区民の視点や困り事に立ち返り、区民サービスを見直していくことを示しております。

そのためには、デジタル技術を使って区民に何が提供できるかではなく、区民の視点で区民が何を望んでいるかを把握し、世田谷区の行政はどうあるべきかを考え、実現するための手段として、デジタル技術をどう活用するか、こうした思考の転換が管理職をはじめ全庁の職員に必要となります。

その上で、DXの推進により生み出される人材、また効率化によって生まれる財源、こういうものを活用いたしまして、相談業務などの地域の諸課題に区民とともに対応できる、全庁を挙げた行政サービスの再構築に取り組んでまいります。

次に、会議体の話がございました。検討ばかり、会議ばかりということで、これらを含め行政の体質を改善すべきだということの御主張でございます。

確かに、今の会議体につきましては、特に最近は連携という言葉の中で、区自身が会議というものを非常に多く持っているというのが現状でございます。これは、やはり自分たちの責任を持った所管の部分がまずはリードして、その中で、会議体を開くなら開いて、その目標を決めるというはっきりした目標をつくっていく会議、これがやはり必要だと思います。

今般の日々変化する状況を見極めながら、迅速かつ的確な対応が求められるこのコロナ禍の状況は、行政の体質を抜本的に改善いたしまして、仕事の進め方を変えるための好機とすべきと考えております。コロナ禍で得た危機感やスピード感といった経験を糧といたしまして、迅速な政策判断、前例踏襲型の仕事の進め方の改善、機動的かつ臨機応変な対応などに着実につなげるため、幹部職員をはじめとして、区職員全体の意識改革を早急に進めてまいります。

先ほど申しましたDXも一つの起爆剤としながら、区民の利益を最優先に、行政サービスの在り方や働き方を見直すなど、行政の抜本的な体質改善を進めてまいります。

岡田 副区長

私からは、地域行政に関連しまして、大都市の規模を生かしながら、きめ細やかな行政サービスを展開する理念、また、コロナ禍を経験した自治体の責務としての地域行政改革、この二点につきまして一括して御答弁を申し上げます。

本区の地域行政制度は、約十年の準備期間を経て平成三年にスタートして、既に三十年を経過しております。大規模な自治体としての統一性を保ちながら、地域に密着した総合的な行政サービスと地域の実態に即したまちづくりを展開し、区政への住民参加の促進を図るということを基本理念としており、この理念は現在も変わらないと考えております。

三十年間、地区、地域、本庁という三層構造で行政運営をするということを基本にし、紆余曲折を経ながら、この制度は世田谷区の中で定着をしてまいりました。しかしながら、当時の議論を振り返りますと、五つの地域はそれぞれ人口も地域実態も異なるのだから、地域のデータを把握しながら住民参加で地域別計画をつくり、地域に即したまちづくりを進めること、こういったことを構想しており、そういう意味ではいまだ完成をしていない制度ということも言えるかと考えます。

四月から各地区の町会長会議にお邪魔をいたしまして、条例制定に関する意見交換をしてまいりました。地区、地域を重視した行政運営、区民主体のまちづくりを進め、住民自治を実現することが条例の目的であり、この基本方針を区議会の議決を経て区民の皆さんと共有し、次期の十年の基本計画の一つの柱にしていきたい旨のお話をしてまいりました。おおむね趣旨には賛同いただいたものの、町会・自治会の皆さんに共通した危機意識として、加入率の低下、役員など担い手の不足の問題があり、理念を実現するための具体策は何かが強く問われたと考えております。

町会長会議がワクチン予約の時期と重なり、日頃まちづくりセンターが所長を中心に、町会・自治会や民生・児童委員、ケアマネジャーなどと関係をつくっており、それが高齢者への声かけにつながっていることもかいま見る機会となりました。

私たちは、阪神・淡路大震災における神戸市長田区の例からコミュニティーの大切さを学び、地域福祉の展開や建物耐震化に力を入れてまいりました。出張所にまちづくり担当を置いたのもこの時期でございました。また、東日本大震災を契機に、まちづくりセンターの防災体制の強化、防災塾の実施につなげるなど、大規模災害を教訓にしながら事務事業の転換をしてまいりました。

今回のコロナ禍では、予約支援の取組により六十五歳以上の申込者十四万人のうち一万三千人もの方が、家族にも頼めず困っていらっしゃったことが明らかになりました。今後の地域社会を考えますと、社会的孤立や様々な意味での格差の問題が一層顕在化していくことが想定されます。コロナ禍により地域活動が止まってしまった時期を越え、地区での顔と顔の見える関係づくり、地区、地域での支えあいの関係づくりなど、新たな地域活動の担い手のネットワークづくり、住民自治の再興が今こそ重要になっています。

世田谷区の地区、地域を重視した行政、それによる本庁の仕事の仕方の改革など、地域行政の再構築はコロナ後の区の責任として取り組むべき重要課題と考えます。今後、区議会はもとより、町会・自治会等地区を支えてくださっている方々、そして、地域で様々な地域活動をされている区民、今はそうした活動に参加する機会のない区民、こうした皆様と情報共有を進め、議論しながら、新たな時代の地域行政の姿を描いていかなければいけない、このように考えているところでございます。

久末 住民接種担当部長

私は、このコロナ禍において、区民に早く安心して身近な場所でワクチン接種を行えるようになるよう考えるべきという御質問に答弁いたします。

このコロナ禍を収束させるためには、区民へのワクチン接種をできる限り速やかに行う必要があり、特に、高齢者は移動が困難な方も多いため、身近な場所で接種が受けられるよう、区内五地域のバランスを考慮しつつ、十九か所の接種会場を総合支所などと連携し設置運営をしております。加えて、地区ではまちづくりセンターで予約困難な方へ予約のお手伝いを行い、医師会と連携して、今月中には顔の見えるかかりつけ医による接種も開始することで、身近な地区で予約から接種までを完了することができるよう、ワクチン接種から取り残されてしまう方がいないような体制を検討してまいりました。

また、予約の受付開始時にシステムがつながりにくくなった反省を踏まえ、処理能力の増強を含めた抜本的な強化を行い、申し込み、御相談を受けるコールセンターのフリーダイヤル化も含め、分かりやすく区民をお待たせしないシステム構築を進めてまいります。

今後も、世田谷区の地域行政制度を活用し、身近なところで相談できる体制を整えるとともに、大学や企業による職域接種や国、都の大規模接種センターなどを含めた接種機会の多様化を進め、希望する全ての区民が早期に接種できるよう取り組んでまいります。

また、今回は議会の皆様への情報提供が遅くなってしまい、大変申し訳ございませんでした。今後はきちんと適切な時期に情報提供をさせていただくよう努めてまいります。

舟波 地域行政部長

私からは、二点御答弁申し上げます。

まず、コロナ禍により全ての行政分野は区民との関係が見直しを迫られる、その危機感についてでございます。

コロナ禍にありましては、人と人が集まる機会が制約され、自主的な活動が困難となっていることから、これまでのようなコミュニティーの中で地域活動ができるのだろうかという不安感や、相談や手続に行きたくても行政の窓口に行くことをためらってしまうことなど、コロナ禍を経験した区民の意識や行動の変化を様々な事業の現場で受け止める必要があると認識しております。

地域行政の観点からは、特にまちづくりセンターを中心とした地区を重視する基本的な考え方に立って、参加と協働による区民主体のまちづくりや、身近な行政拠点で求められる行政サービスにつきまして、コロナ禍を踏まえた新たな発想の下に再構築をしていく、そのような検討を区民や地域活動に携わる方の御意見も伺い、庁内議論も重ね、(仮称)地域行政推進条例の制定及び推進計画の策定につなげてまいります。

次に、コロナ禍を経験した身近な地区での対面サービスの強化についてです。

コロナ禍の経験を踏まえ、区民の視点から区民と行政の重要な接点である窓口サービスの在り方を見直していく必要があると考えております。その中で、自宅やモバイル機器から相談、手続が容易に行うことができる行政サービスや、本庁や総合支所とシステムでつながる仕組みの導入など、区民の方の生活環境に応じて相談や手続の方法を選択することができる、そのようなサービス提供に努めてまいります。

一方、今般のまちづくりセンターによるワクチン接種予約支援におきましては、予約にお困りの多くの区民の方がお近くのまちづくりセンターに相談し、予約の手続をされたことから、まちづくりセンターが区民と行政を直接つなぐ大切な行政拠点であることを再認識した次第でございます。

今後、ICT利用が困難な区民の方への支援の充実や、DXの推進により生み出された人材を、区民の困り事を対面で感じ取り対応することができる相談業務の充実など、行政サービスの再構築に向け検討し、取り組んでまいります。

佐々木 砧総合支所長

私からは、外環事業に伴う上部空間等の利用についてお答えいたします。

東京外郭環状道路につきましては、本年三月、事業期間を令和十三年三月まで延伸する都市計画事業の変更が認可されたことにより、外環道の整備には期間を要することとなり、東名ジャンクション周辺における上部空間等の整備着手時期についても先が見通せない状況となっております。

一方、外環道の整備により分断された地域のコミュニティーの活性化や、議員お話しの外環の森のように、新たな森をイメージできる緑豊かな空間の創出など、上部空間等の利用計画に対する地域の期待は大変高いものと認識しております。

区といたしましては、地域の皆様から御意見を伺いながら、東名ジャンクション上部空間等利用計画の早期の策定に取り組むとともに、整備や管理の役割を区と外環事業者で分担するなど、上部空間等利用の実現に向けた準備を着実に進めてまいります。

地域の期待に応えられる上部空間等の利用について、砧総合支所が先頭に立ち、外環事業者とともに鋭意取り組んでまいります。

田中 経済産業部長

私からは、産業支援の在り方などについて御答弁いたします。

産業振興基本条例の改正素案では、従来からの産業に加え、超高齢社会の到来や価値観の多様化などにより重要性が増している福祉や教育など、様々な産業の振興も条例に位置づけ、地域経済の持続可能な発展に向けて、関係所管や産業振興公社との適切な連携の下、取組を進めてまいります。

旧池尻中学校跡地活用では、この条例の考えを具体化する産業及び学びの拠点になると考えております。未来を担う子どもたちが社会や仕事について学び、才能や能力が開花するきっかけを与えられる場とするとともに、区全域から区民が集い、多様なメリットを享受できる、魅力ある開かれた施設となるよう準備を進めてまいります。

小泉質問

政治、そして行政は結果責任が問われます。今の世田谷は、区民の要求にきちんと対応しているかということです。区長以下、特に幹部職員の方々は、このことを肝に銘じて仕事に向かっていただきたい。そして、区民に信頼される世田谷をつくり上げていただきたいと思います。