第1回定例会での一般質問

一般質問 (2月21日)

小泉質問

通告に基づき、順次質問してまいります。

子ども虐待死と転入問題について伺います。

千葉県野田市の小学四年生の女子虐待死事件から一年、本日、父親の初公判が開かれています。また、目黒区の五歳の女子虐待死から来月で二年です。この痛ましい二つの事件には共通点があります。二件とも転入家族で、地域とのつながりがなかったのです。

厚生労働省の去年夏の報告で、一七年三月までの十年間について、全国の虐待死事案三百八十一人の転居状況を検証したところ、転居ありが百五十人で、そのうち、自治体や民間の支援団体などとの接触の有無を調べたところ、ほとんどないが五十八人、乏しいが三十六人、合わせると六割を超えています。これを踏まえ、厚労省の有識者委員会は、引っ越しで今までの人間関係や支援関係が途切れ、家族が孤立を深めた可能性が高いと指摘しました。

平成三十年度の区への年間転入者数は七万人弱です。十歳以下は四千六百二十二人、月平均二十人以上の子どもの転入者がある地区が七カ所もあります。以前、担当部署に、子どもの虐待防止に向けて、転入届、転入時にやるべきことがあるのではないかと質問しましたら、転入と虐待は何ら関係がない、対応のとりようがないとのお返事でした。

世田谷区として、子ども虐待死と転入問題について、改めてどのようなお考えをお持ちなのか伺います。

先月、野田の事件の市役所の検証報告書が出されました。報告では、児童相談所や市が介入すべき機会が少なくとも十三回あったと指摘、そして、市の福祉、学校、児童相談所職員の誰であれ、頼れる大人が一人でもいたら救えたはずとして、各行政機関の職員の姿勢や対応を強く批判しています。また、目黒の事件でも、転居元と転居先の児相間の引き継ぎ、連携が不十分だったとされています。つまり、両事件とも児童相談所の対応問題とされていますが、疑問です。虐待死への直接の関与の責任は児童相談所にあるのでしょうか。もともとの原因は、転入先の地元、地区でしっかりと転入家族を受けとめていないことです。問題は転入時にあると見るべきです。

厚労省は去年八月一日に全国自治体に対し、自治体間で転出、転入の情報共有を徹底するとともに、子育て世代が転入手続を行う際、自治体職員が子育ての窓口を紹介することなどを求めました。国ですら転入手続の際に自治体職員が子育ての窓口を紹介すべきと言っているのです。

子育て先進都市として、また、児童虐待ゼロを目指す世田谷区として、転入手続のあり方について抜本的な見直しを行うべきですが、区のお考えを伺います。

児童虐待ゼロについて伺います。

区は児童虐待ゼロのまちづくりを目指すと表明されました。そのことを評価します。しかし、その後の区長答弁などで、虐待相談ゼロと言われます。つまりは、世田谷区の児童虐待ゼロの取り組みは、児童相談所をまとめとする虐待相談ゼロの取り組みを中心とされているのです。疑問です。

先日のテレビでも放送されていましたが、大阪府は二〇二一年度の児童虐待死亡数ゼロを目指して、民間団体等でゼロ会議を構成し、「お母さん、お父さん、話きくで」というプログラムを展開しています。世田谷区も、対処療法ではなく、根本的な対応をとるべきと考えますが、お考えを伺います。

区は、児童虐待対応について、セーフティーネット対策を中心とされていますが、疑問です。セーフティーネット、つまり、安全ネットで一番わかりやすいものは、空中ブランコの安全ネットでしょう。しかし、幾ら強固な安全ネットを整備したからといって、空中ブランコが上手になるのではありません。

人生というものは空中ブランコにも似ていると思います。いつもよい条件で演技できるのではない、場所の問題もあるし、相手方との呼吸の問題もある、それを乗り越えて演技していく。安全ネットがきちんと張られているから、すばらしい演技ができるということではないはずです。

区の児童虐待対応について、セーフティーネット対策を超えた新たな取り組みが必要です。お考えを伺います。

地域行政の推進に関する検討について伺います。

第二回地域行政検討委員会において、委員長から、具体の検討に先立って、現在、まちづくりセンター二十八カ所ではやっていなくて、それぞれ五カ所の出張所、くみん窓口でやっている転入届とか印鑑登録の申請などをまちづくりセンターで行う、そして、住民の方がまちづくりセンターに行かざるを得ないようにすることが効果的ではないかという意見が表明されました。さらには、子育て世代の区民委員が、さまざまな手続など、総合支所ではなく、地元のまちづくりセンターでできればありがたいという発言がありました。

この委員会での委員長の意見表明、区民委員の発言はとても重要なことですが、区としてどのように感じておられるか、お考えを伺います。

区長は地域行政の改革を目指すと表明されました。このことが果たして全庁に伝わっているのでしょうか。

今回、せたがや自治政策研究所が出された地域行政に関する研究報告書には、本庁と総合支所の役割分担が少なくとも現場としては適切な形に落ちついており、大きな課題は生じていないと捉えることが適切と述べられています。この報告の内容と、区長が地域行政の改革を行うということとは、意識の上で大きな違いがあると思いますが、お考えを伺います。

今回の検討に当たり、基本的姿勢として、区民の行動を組織に合わせるのか、それとも、区民の活動に組織が寄り添うのかという課題があるはずです。便利な駅のそばで手続を行ってもらうという区の方針のもと、何の情報も得られず、見ず知らずの場所で二時間も待たされるのと、同じ二時間待つとしても、地元のまちづくりセンターで、いろいろな情報も得られ、町会・自治会の方々ともお話しできるチャンスがあるということでは、転入者の受け入れの成果が異なります。

ところが、先ほどの報告書では、一九ページに、ある学識経験者の方の文章として、世田谷区において、住民がまちづくりセンターに期待する機能は、まちづくりよりも、むしろ窓口事務のほうが大きいという皮肉な状況があるとされています。住民の窓口事務への期待が皮肉な状況とされるのです。

このような考えもあるでしょう。しかし、私たち、それに行政の方々は学者ではありません。区民の行動に組織、行政が寄り添う、地区レベルでの区民生活に組織が寄り添うことが必要です。お考えを伺います。

さらに、第二回の検討委員会では、地区レベルの行政のあり方を検討されましたが、出張所・まちづくりセンターの現状が検討素材とされているだけです。なぜ児童館、区民センター、地区会館などの区民活動の拠点を重要な検討素材とされないのですか、お答えください。

せたがや自治政策研究所の報告書について伺います。

今回提出された地域行政の推進に関する研究についてですが、この報告書の第五章、「さいごに」において、新しい条例制定に向けてで、かつて地域行政のスタート時には、基本方針の策定から実際の導入まで十二年を要している、ここまで時間をかけるのは適当ではないと思うが、一方では、導入以来、約三十年を経て、それなりに安定している現在の制度を変えようとするならば、地に足のついた慎重な検討が必要と書かれています。これは一体全体、どのお立場で、誰が書いたのかと担当に伺いますと、職員が書いた、これまでの経過等を事実に基づいて作成したということ、さらには、お話の中で、区として見本のないことはできない、加えて、原資等が手当てできなければ、何もできないということを言われました。全く改革への意欲が感じられませんが、同時に出された自治体のあり方研究においては、新たに小さな拠点づくりが必要であるとも指摘されているのです。

同じ研究所から同時期に出された報告でありながら、決して整合性がとれているとは言えない、また、現状を追認しているだけとも思える基本的姿勢について大きな疑問を持ちます。このことについて区の答弁を求めます。

以上で壇上よりの質問を終わります。

岡田 副区長

私からは、区が目指す地域行政の改革について御答弁を申し上げます。

地域行政制度は、地域住民に密着した総合的な行政サービスと、地域の実態に即したまちづくりを展開し、区政への区民参加を促進することを理念といたしまして、構想、準備から四十年、制度スタートから約三十年を経過し、世田谷区独自の行政経営の基盤をなす仕組みとして定着してまいりました。一方、高齢化の進展や人口増など、地域社会が変化する中で、町会や自治会などの構成員の高齢化、担い手の不足が課題となるとともに、家族のあり方や、集合住宅など住まい方の変化、地域とかかわりなく生活する方の増加など、地域コミュニティーのあり方も大きく変化しつつあります。

こうした中で、地域行政の理念に基づき、地域の課題は地域で解決する、地域のことは地域で決めるためには、新たな時代にふさわしい地域行政を再構築する必要があると認識しております。住民に最も身近な行政拠点において、これまでの取り組みで築き上げつつある福祉の相談窓口も活用しながら、日常的に区民の課題や意思を把握し、区民参加の場づくりや、地域活動の支援を充実させるといった地区まちづくりを基本とし、まちづくりセンター、総合支所、そして、本庁のあるべき姿を検討し、地域行政の発展、深化を目指していきたいと考えております。

以上です。

土橋 児童相談所開設準備担当部長

私からは、子ども虐待死と転入問題について、野田市、目黒区の事例を踏まえた区の考え方についてお答えいたします。

目黒区の事件は、児童相談所を初めとする関係機関の連携や役割分担が徹底されず、子どもの安全確認ができないまま、重大な結果に至っており、野田市の事件につきましては、夫婦間のDVに起因する子どもへのリスク評価や、一時保護解除時の安全確認の調査が不十分であったことなどにより、重大な結果を招いたと報告されております。いずれも関係機関の適切な対応があれば命を救えたケースであるとともに、自治体をまたいで住所を異動した経過があることから、転入先の住所で地域の中で支えあう関係が育まれていれば、これらの行政の支援を拒む家庭であっても、地域の力で助けることができた可能性もあると考えられるところでございます。

こうしたことを踏まえ、転入家庭を初めとする子育て家庭を地域で受け入れ、支えあう関係づくりの重要性について、改めて目を向ける必要があると考えており、家庭と地域の関係づくりに向け、今後開設する児童相談所としましても、関係所管との積極的な連携協力に取り組んでまいります。

以上でございます。

清水 地域行政部長

私からは五点について順次答弁をいたします。

初めに、転入者を地区で受け入れる方策についてです。

虐待に関連した要支援家庭の住所異動においては、転入前後の自治体の担当者間において、情報伝達を図ることがルール化されており、一方、転入手続においては、虐待やDVに関する兆候が見受けられたり、相談があった場合は、住民基本台帳の適正管理に関する条例に基づく住民票戸籍の附表の交付拒否、閲覧拒否等、支援措置の対応を図るとともに、保健福祉等の関係所管に御案内しております。地域行政の検討においては、地区、地域におけるコミュニティーの促進という視点から、まちづくりセンターに求められる役割や機能を検討することとしており、転入手続など窓口業務のあり方についても、その観点から検討を進めてまいります。

次に、地域行政検討委員会での意見についてです。

地域行政検討委員会では、第一回において、地域行政の歩みの振り返りと、区を取り巻く現状、課題について、第二回では、地区の行政拠点の現状、課題と、あるべき姿について検討を行いました。第二回の検討委員会において、まちづくりセンターで転入手続を行うことができるのであれば、認知度を高めるという点ではよいのではないかという委員長の意見や、妊娠期面接や出産後の交流事業をまちづくりセンターでも実施することで、知る機会にもなり、近所の人と顔見知りになれるのではないかという委員の御意見もございました。

地区のコミュニティーの活性化に向けて、まちづくりセンターの重要性が高まるという認識に立ち、身近なまちづくりや、支援が必要な方への対応など、まちづくりセンターに求められる業務のあり方について、広く区民の意見もいただきながら検討し、まちづくりセンターがコミュニティー支援の行政拠点として、地区のよりどころとなるよう、取り組みを進めてまいります。

次に、区民の行動を組織に合わせるのか、区民の行動に組織が寄り添うのか、また、地区レベルでの区民の生活に寄り添う組織が必要ではないかの二点について、あわせて御答弁いたします。

地域行政制度の導入以降、その時々の社会情勢の変化や、法令、制度の改正に合わせ、三層構造の役割や機能の見直しを図ってまいりました。特にまちづくりセンターについては、高齢化社会の到来や大規模災害に備え、地区、地域で支えあうまちづくりを目指し、その役割の見直しを行ってきたところです。

まちづくりセンターでは、地区防災活動や地域包括ケアの全地区展開による相談機能の拡充、三者連携による高齢者などの居場所づくりなど、地区に暮らす住民に寄り添った活動を着実に進めていく必要があります。車座集会でも多数御意見をいただいた町会・自治会への加入率の低下や、民生児童委員の担い手不足など、地域の支えあいに対する危機感や不安感がある中、まちづくりセンターが地区の人と人との関係づくりなど、コミュニティー支援の行政拠点として、その役割を担うべく検討してまいります。

最後に、検討する際に、児童館、区民センター、地区会館なども検討素材と捉えるべきについてです。

第二回の地域行政検討委員会では、地域活動、参加と協働のあるべき姿の一つとして、区民センターの自主事業や、小中学校、児童館などの活動、イベントが連携し、活発で魅力的な住民参加の機会が提供されていることを掲げ、現状課題との対比から取り組むべき内容について、今後検討を深める予定です。

地域行政の検討においては、例えば区民センター運営協議会や希望丘青少年交流センターなど、住民主体の地域活動や施設運営の状況や、児童館、おでかけひろばなど、地区における身近な事業をつなぐ今後の取り組みなども重要な要素と捉える必要があると考えております。さらに、ワークショップなどにおいて、地域活動の促進につながる方策について、区民から広く御意見をいただき、検討委員会に反映させてまいります。

以上です。

澁田 子ども・若者部長

私からは二点お答えをいたします。

まず一点目、児童虐待ゼロに向けた対応についてでございます。

重大な児童虐待事件の発生や、虐待相談件数の著しい増加などを受け、国は児童相談所の体制強化策を打ち出すなど、その対応に努めております。区立児童相談所を設置し、子ども家庭支援センターとの一元的な運用が定着すれば、相談の敷居は低くなり、児童虐待相談件数がさらにふえることも見込まれます。しかし、児童相談所を初めとする区の子ども・子育て支援施策の目指すべき目標は、区の子ども計画の基本理念に掲げるとおり、相談ケースへの対応にとどまらず、全ての子どもの尊厳と権利が尊重され、心も体も健康で過ごし、個性豊かな人間性を育む、児童虐待のない町の実現、すなわち、虐待ゼロの地域社会の実現にあると考えております。

子どもが愛されて育ち、そして、大人となったとき、自分の子どもと家族を愛することができる豊かな地域社会を目指し、その実現に向けて、全力で取り組んでまいります。

二点目、児童虐待対応の新たな取り組みについてお答えいたします。

児童の虐待については、児童相談所が対応する前に、地区のネットワークにより未然に防ぐことが重要でございます。今後は、児童館を地区における情報や見守りの中核として位置づけ、児童館に来館する児童や、新BOP学童クラブの児童情報にとどまらず、その地区の子ども情報を集約し、必要な場合は、子ども家庭支援センター等の関係機関と連携し、支援をしてまいります。また、一時保護所等から地区に戻る子どもについても、地区のネットワークの中で情報を共有しながら見守りを行い、虐待の再発を防止してまいります。

今後は、地区の状況に合わせまして、地区の三者が児童館主催の地域懇談会へ参加したり、また、地域ケア会議等へ児童館が参加するなど、連携を深めまして、円滑な情報共有を行える、顔の見える関係づくりに努めてまいります。さらに、事例検討や研修等による気づきの能力の向上を図り、子どもたちや地域の方々に魅力のある児童館づくりを一層強化し、児童虐待の防止に向けた地域づくりを進めてまいります。

以上でございます。

中村 政策経営部長

私からは、せたがや自治政策研究所の報告書について御質問いただきました。一括して御答弁いたします。

今回の地域行政の研究では、過去を知らない若い世代の区民にも、これまでの取り組みを理解してもらえるよう、導入以来、現在に至る地域行政の歩みを事実経過に沿って整理をいたしました。その上で、今後の地域行政の推進に向けて、分散、分権、参加、協働の四つの視点を提起し、幾つかの考察を行いました。

今回の研究では、こうした考察にとどまっていますが、地域行政が発足して二十九年が経過し、区民の価値観の多様化が進み、地域社会のありようが大きく変容している中で、現在の地域行政制度に課題がないとは考えておりません。区がこれから取り組むべきは、地域行政のあるべき姿を追求し、必要な人材、財源を効果的かつ効率的に配分していくことだと考えております。今後、地域行政の改革の議論に資するよう、お話にもありました自治体経営のあり方研究の政策提言も踏まえまして、現状にとどまらない研究活動に取り組んでまいります。

以上です。

小泉質問

予算委員会で続きをいたします。

終わります。