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世田谷区の『地域行政』について -5-
前回は、発足以降10数年が経過し、地域行政がどのように進められてきたのか変遷を見てきました。
今回は、シリーズの最終回として、新たな出張所を中心とする区民に最も身近な地区の強化への取組み、そして、新たな課題となる総合窓口の創設を含めた、今後の地域行政の展開について触れていきます。
出張所とまちづくりセンター
まちづくりセンターは、地区の行政拠点として、機能を拡充することとあわせて、より一層区民との信頼関係を深め、親しまれる存在となる必要があります。このため、出張所・まちづくりセンターという現在の名称についても、もちろん検討の必要がありますが、これまで区では、平成17 年度に、出張所を「出張所」と「まちづくり出張所」とし、また、平成21年度には、まちづくり出張所を「まちづくりセンター」に改め、地区のまちづくりの行政拠点は、「まちづくりセンター」であることを示してきました。
まちづくりセンターは、地域包括ケアの地区展開の全地区での実施や平成29年7月の総合窓口の開設を視野に、平成28年7月を目途に、27か所に設けられることにしています。
さらに、マイナンバー(社会保障・税番号)制度や総合窓口の導入状況等の検証も行いながら検討を進め、平成32年4月に、新たなまちづくりセンターを発足させる予定としています。
地区防災対策の強化
平成23年に発生した東日本大震災の経験を踏まえ、防災意識の高まりとともに、区民や事業者、区がそれぞれ助け合い、共に取り組んでいくことが必要となっています。
出張所・まちづくりセンターは、平成25年度において、地区における防災対策を仕事として位置づけられたことを踏まえ、区民の自主的な活動への支援の強化や、本庁と総合支所と連携した取組みの充実を図り、着実に地区における防災対策を推進していくことにしています。
地域包括ケアの地区展開
区民が抱える課題は、介護や子育て、生活困窮など多岐にわたり、複雑にかかわりあっています。高齢者に限らず、障害者や子育て家庭など支援を必要とする人が、安心して保健福祉の相談を身近な場で受けられる環境をつくることが急務となっています。
こうした喫緊の課題の解決をめざして、区では、地域包括ケアを推進することとし、より身近な地区において、高齢者のみならず、障害者、子育て家庭等の相談支援の強化や地域資源の開発等に取り組むこととしています。
このため、出張所・まちづくりセンターは、同じ建物の中に、あんしんすこやかセンターと社会福祉協議会とを一体的に配置し、総合支所の関係各課によるバックアップを受けながら、身近なところでの相談体制の充実を図り、地域包括ケアの地区展開を進めています。
平成26年度の砧まちづくりセンターでの試行を第一歩として、27年度の池尻まちづくりセンター、松沢まちづくりセンター、用賀出張所及び上北沢まちづくりセンターでのモデル実施を踏まえ、平成28年7月から、全27地区での実施をめざしています。
総合窓口の創設
出張所は、住民からの届出等への対応にあたり、すでに「総合的な窓口機関」としての役割を担っています。目前に迫るマイナンバー制度の導入は、全国的なネットワークシステムのもとで、他の自治体から転入する際のサービス提供の案内や、公的証明書類の添付の省略により、行政事務の効率化が図られ、手続き時間の短縮も可能となるものです。このメリットを最大限に活用し、分野を超えて情報を活かした区民サービスの展開をめざし、その「入り口」としての環境整備を図る目的で、各総合支所に、「総合窓口(申請窓口の総合化)」を創設するとしています。
創設の時期は、マイナンバー制度の導入に伴い、区市町村の情報連携が開始される平成29年7月を目標としています。
総合窓口では、転入、転居等の住民異動に伴い申請に訪れた区民が、別の窓口に移動することなく、その手続きに連続する一連の保健福祉や教育などの手続きが完了するよう、わかりやすく、利便性の高い仕組みをつくることとし、また、戸籍(出生、氏名変更、死亡等)の届出についても、総合窓口として取り扱うこととされています。
また、総合支所に、総合窓口を設置する効果を活かし、住民票や戸籍の異動に伴わない保健福祉サービスの申請なども取り扱い、手続きに連続する一連の手続きをひとつの窓口で行えるしくみにするとされています。
総合窓口の設置にあわせて、世田谷総合支所の区民係と総合支所内の出張所(北沢、等々力、成城)は、戸籍係と統合し、総合窓口を担当する係に改め、烏山総合支所は、区民・戸籍係を総合窓口を担当する係とする方向で検討することになっています。
総合支所庁舎内の総合窓口の設置場所については、現在の出張所、または区民係、戸籍係等の位置を基本に、各総合支所の現状を踏まえ、配置を工夫して対応することになるとされています。なお、玉川総合支所は、平成31年度に新庁舎で業務が開始されるため、平成29年度は、仮庁舎での設置ということになります。
総合支所
北沢総合支所については、北沢タウンホール(下北沢)と保健福祉センター(梅丘)に分かれており、従来から区民の利便性の面などが大きな課題となっていました。区民サービスの向上の点からも、総合支所庁舎内での連携を強化することとし、地域包括ケアの推進、総合窓口の創設の課題にも適切に対応する必要があるため、保健福祉センターについては、なるべく早い段階で、北沢タウンホール内への移転を進め、総合支所としての機能の充実を図ることとしています。
世田谷総合支所については、今後の総合支所の機能の拡充や、住民との距離を考え、交通の利便性を視野に入れ、「三軒茶屋」を候補として移転を検討することとなっています。
また、今後の総合支所の組織改正については、総合支所への権限の移譲や平成28年7月の地域包括ケアの地区展開の全地区での実施、平成29年7月の総合窓口の設置も視野に入れ、見直すこととなっています。
本庁舎の整備
本庁舎の整備は、単なる行政サービスの提供にとどまらず、区民の多様なニーズに応えることができ、だれもが快適に利用できる区民のふれあいと交流を育む開かれた場になるとして、検討が進められています。
住宅地の中にある庁舎であることを考慮し、都心にあるような高層の庁舎ではなく、区民が集い、親しまれてきた中庭を中心に建物の高さを抑え、周辺環境との調和した庁舎がイメージされています。また、規模については、今後の地域行政の進展や事務改善などを見込んでも、最低約45,000㎡は必要であるとされています。
今後、議会や区民の意見を聴きながら、来年の秋には、基本構想としてまとめられていく予定になっています。
地域行政の更なる展開をめざして
地域行政に関する最近の区の動きをご紹介させていただきましたが、ご覧のとおり課題が山積しています。
区民が生活する地区に目を向け、区民の暮らしを支える力強いコミュニティを作り出し、地区防災対策の強化や地域包括ケア推進の取組みを進めることは、とても大切なことであり、急がれることです。
また、地区には、町会・自治会をはじめ、さまざまな区民活動団体が存在しています。こうした団体が主体となり、相互に協力をしながら、地区の強化に力を結集していくことがこそが不可欠です。そのための区の支援も充実させる必要があります。
私の思い
私は、以前から、「総合窓口」の構想には問題があると指摘してきました。また、最近区から確認したところによると、出張所の窓口業務とまちづくり業務を組織的に分離し、まちづくり業務を「まちづくりセンター」に位置づけ、27か所のまちづくりセンターを整備しようとしています。これでは、身近なところで行政手続きがさらにできなくなり、行政と区民との距離がますます遠のいてしまうことになります。区が言っている「地区の強化」に逆行するもので、矛盾しています。
私は、歩いて暮らせるまちをつくるため、今後も地域行政の更なる展開に力を注いでまいります。